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クッキー同意ツールとは
弊社のウェブサイトにも導入していますが、CookiebotやCookieYesなど、クッキーの使用に関して同意をとって記録するツールは様々な種類があります。ツールや設定によって様々ですが、「すべて拒否する」や「すべて同意する」のほか、内容を確認して個別に同意するようなオプションがある場合もあります。
これらの同意状況は、サービスのほうにも、ブラウザのほうにも記録されます。(同意状況のブラウザ側の記録にもクッキーが使われます!)
ブラウザ側で記録しているので、すでに意思表示したウェブサイトを二回目に閲覧しても同意用のポップアップが表示されません。
また、同意した、あるいは拒否した状況は、後からでも変更できる場合がほとんどで、変更できるUIが提供されていなくても、ブラウザの閲覧履歴のクッキーを削除したら意思表示前の状態に戻ります。
クッキーの使用をすべて拒否したらどうなる?
すべて拒否したとしても、ほとんどのウェブサイトでは本文や画像の閲覧に支障はありません。
しかし、たとえばYouTubeなどの埋め込み動画や、SNSのタイムラインなどが表示できなくなったりします。そのほか、そのサイトに関するリマーケティング広告が表示されなくなったりします。
(個人的には、このあいだブックマークし忘れた商品を広告から購入できたのがうれしかったので、リマーケティング広告が出ないほうがうれしいかどうかは人によります)
クッキー同意ツールでは、一般的に、クッキーを使用目的のカテゴリに分類して、目的ごとに同意したかどうかが記録・制御されます。このカテゴリはツールによって表現が異なることがありますが、一般的に「広告」や「統計」や「マーケティング」などです。そして、これらすべてのカテゴリを拒否しても、必須に分類されたクッキーは使用されます。
ただ、残念なことに、Googleアナリティクスのクッキーは、この必須に該当しないため、クッキーを使用した情報については取得できなくなります。
GA4はクッキーを何に使っている?
さて、ここからが本題のGAについてです。先ほど、Googleアナリティクスのクッキーは、クッキー同意ツールで許可されないと情報が取得できないと説明しましたが、ご安心ください。GA4はデータ送信自体にはクッキーに依存してないので、クッキーに依存しない範囲のアクセス解析は行えます。
具体的には、「ページを開いた」や「ファイルをダウンロードした」という出来事(イベント)ごとに、こんなイベントが発生したよ、という情報が送信されますが、これはJavaScriptで送信されていて、クッキーとは関係がない範囲です。
では、クッキーは何に使われているかというと、「同じ人が発生させたイベントかどうか」を見分けるために使われています。(ユーザー識別子といいます) たとえば、「ページが表示された」というイベントが10件発生したときに、1人が10回見ているのか、10人が1回ずつ見ているのかを区別するためには、同じ人かどうかを識別できる必要があります。
なお、同じ人かどうかは判別したとしても、Googleアナリティクスでは個人の特定につながるような情報(名前など)の取得や送信は禁止されているので、そこも安心していただければと思います。
GA4への影響は?
実は、GA4には機械学習が入っています。クッキーの使用に同意したユーザーと、拒否したユーザーの行動を学習し、モデルを推定して、データの欠落を防ぐというものです。
たとえば、日別や国別のユーザー数や、ユーザーごとの経路などのユーザーにまつわる数は、クッキーの拒否が多かった時に、このモデルを使って補うことができます。
ただし、学習するためには十分なデータが必要です。また、以下の条件を満たす必要があります。(引用なので一部専門的な用語があります。)
同意モードが、サイトのすべてのページと、すべてのアプリ画面で有効になっている。 同意ダイアログが表示される前にタグが読み込まれ、ユーザーの同意の有無にかかわらず Google のタグが必ず読み込まれるようにウェブページの同意モードを実装する必要があります(高度な実装)。 プロパティで、少なくとも7日間、1 日あたり 1,000 件以上の analytics_storage='denied' のイベントが収集されている。 過去 28 日間のうち少なくとも 7 日間、1 日あたり 1,000 人以上のユーザーがプロパティで analytics_storage='granted' のイベントを送信している。
モデルのトレーニングが成功するためには、その 28 日間でデータしきい値に達している日数が 7 日より多く必要な場合があります。ただし、追加のデータがあってもモデルをトレーニングするのに十分ではない場合もあります。
引用元: アナリティクスヘルプ『[GA4] 同意モードの行動モデリング』
閲覧数がある程度あって、受け入れも拒否もそれなりの数が必要になるところがネックです。また、モデルから推定されたデータを使えない機能もあります。詳しくは、アナリティクスヘルプ『[GA4] 同意モードの行動モデリング』をご確認ください。(なお、結構専門的な内容になっています)
まとめ
すべてのデータを知りたいというニーズがあると思いますが、改善には必ずしもデータがすべてそろっていなければできないということはありません。また、閲覧数が十分にあれば機械学習でデータを補うことができます。データすべてを取得するためにクッキーについての同意を確認しない、という選択肢は、特に世界に向けた情報発信をされているウェブサイトではとれないので、しっかり仕組みを理解しつつ、個人情報にも配慮しつつ、賢くデータを活用していきましょう。