表だけが、いつも小指一本ぶん内側にいた

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見出しより小指一本ぶん内側にインデントされた表の紙を掲げて首をかしげる会社員と、足もとでひっくり返った親ガメと子ガメ、クレヨンの手書き文字「親ガメこけたら現象」
2026.10.20
仕組み, 日常の法則
日常の法則の投稿者 ノリヲ
社長のスタンド ノリヲ

祝日の朝、また表だけがずれていた

祝日の朝、AI に作ってもらった打ち合わせのアジェンダを、じーっと眺めていました。Google ドキュメントの見出しも本文も、左端にきれいにそろっています。ところが、表だけが、小指一本ぶんほど内側にインデントされているのです。

むむむっ?

このずれは、前から何度か指摘していて、自分の手で直したこともありました。数日前に AI に頼んだときは、三通り試したうえで「表の左端は外からは動かせません。画面で表の設定を0にすれば、数十秒でそろいます」という返事でした。

いやいや、そんな、そんな。数十秒でも、毎回となると話が違います。

もしかして、夜中に小人が

ひょっとして、夜な夜な小人がやってきて、表だけを、ぐいっと内側へ押しこんで帰っていくのでは!?

……いませんね。

もちろん、小人はいません。表は、作られたその瞬間から、ずっと同じ場所にいたのです。

表は、生まれたときのインデントを覚えていた

そこで今度は、その場しのぎではなく、作り方のところから直してほしいと頼みました。すると AI は、15分ほどで原因を突き止め、直してきました。

この文書には、「標準の文字」や「見出し」に、最初から 35.43pt の字下げが決めてありました。表は、差しこまれる瞬間に、この初期設定を自分の位置として受け取ります。一方、段落のほうは、仕上げの道具が毎回インデントを0に戻していたので、きれいにそろって見えていました。

ははーん

つまり、表だけが、生まれたときに受け取った位置のまま残っていたのです。表そのものを動かす手段が無いのは本当でしたが、表が受け取る元の値を先に消しておけば、あっさり済む話でした。直したあとは、表も見出しと同じ左端に、ぴたりとそろいました。

たい焼きの型に、小さなへこみ

たい焼きの型に、小さなへこみがあったとしますよね。焼きあがるたい焼きは、どれも同じ場所が同じだけへこみます。一つずつ包丁でちまちま整えることもできますが、型を一度直せば、あとはずっときれいに焼けます。

ずれも、これと同じなのですね。毎回、同じ場所が同じだけずれるなら、原因は目の前の物ではなく、それを生み出す型のほうにある。 しかも、段落のように毎回きちんと直してもらっているものほど、型のゆがみは見えにくくなります。

親ガメこけたら現象でした

小指一本ぶんのすき間をあけていたのは、表でも AI でもなく、文書のいちばん奥で静かにこけていた親ガメでした。 親ガメが起き上がると、子ガメの表たちも、するすると見出しの下に並びました。ドキュメントの中で続いていた「親ガメこけたら現象」は、その朝のうちに、おしまいになったのです。

同じ直しを何度もしていると気づいたら、目の前の物を押し戻す手をいったん止めて、それが生まれる元の設定を、ゆるりとのぞいてみる。そのひと手間で、明日からの直しが、まるごと要らなくなるかもしれません。