1日の終わりに、AI が答え合わせをする — Claude Code スキル「夕方の報告」

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アイキャッチ:Claude Code スキル解説「夕方の報告」
2026.10.02
AIスキル解説, 技術紹介, AI
代表取締役社長 中根 茂雄

私の会社では、毎日夕方5時45分になると、AI が1日を締めてくれます。これは Claude Code の自作スキル「夕方の報告」がやっていることで、この記事では、そのスキルが1日の終わりに何を見ているのかを、決めごとごとにお話しします。

結論を先に書きますと、朝に立てた方針との答え合わせ、社員ごとの今日の動き、ブログの素材カード10〜20枚、翌日への申し送りが、1枚の HTML になって届きます。私が読むのにかかるのは5分ほどで、返すのは提案の記号だけです。

作った動機は単純で、1日の終わりに何も残らないことが気になっていたからです。会議で決まったこと、宿題になったこと、誰が何を進めたか、そうしたものは翌朝にはずいぶん薄れてしまいますし、思い出せないものは翌日のやることにも乗りません。そこで、記録がまだ残っているうちに、機械に締めさせることにしました。

対になる「朝の報告」は別の記事で書きましたので、ここでは夕方に特有の「1日を閉じるときに何を見るか」に絞ってご紹介します。

1日が輪になる図:6時半の朝の報告で方針を立て、日中に会議・決定・宿題が動き、17時45分の夕方の報告が締め、明日への申し送りが翌朝につながる。中心にあるのは1日1フォルダの中間ファイル

朝に立てた方針と、答え合わせをする

夕方の報告がいちばん最初に置く節は、成果でも数字でもなく、朝との答え合わせです。というのも、朝の報告が「今日は決めることが2件、返すものが3件です」と方針を立てていますので、その方針がどうなったかを見ないことには、1日を締めたことになりません。そこで最初に、朝の JSON を読み直すところから始めます。

答え合わせでは、進んだ・ずれた・見送り・未着手の4つを、会議や期限の1件ずつに付けていきます。進んだかどうかを機械の記号で持たせておくと、私が読むのは「ずれた理由」の1行だけで済みます。下の画面でいえば、午後の打ち合わせだけが黄色い印になっていて、仕様の相談が長引いて30分延びたことが書かれています。決まったことと宿題も、その場に並びます。

夕方の報告の実物(サンプル):朝の方針との答え合わせと、会議→決定→宿題のタイムライン

ここで気をつけたのは、ずれたことを責める書き方にしないことです。1日のうちで予定がずれるのは当たり前のことですし、ずれた理由のほうに次の手がかりがあります。この日でいえば「終了時刻を先に伝えておきましょう」という一言が添えられていて、これは私が翌日に使える話になっています。

もう1つ、進んだ件数と宿題の件数は、画面のいちばん上に丸い印として出しています。スマートフォンで開いたときに、上の1行だけで今日の重さが分かるようにするためで、急いでいる日は上だけを見て閉じることもあります。

今日のチームを、責めずに1行ずつ出す

次の節は「今日のチーム」で、社員ごとに今日何を進めたかが1行ずつ並びます。材料になるのは、案件管理の更新、社内チャットの発言、プログラムの変更履歴、送受信したメールといった、機械が読める記録です。私が見ていない場所で進んでいることのほうが多いので、この節はいちばん発見があります。

ここで決めたのは、痕跡が見つからない人の書き方です。記録に名前が出てこない人は「痕跡なし」とだけ書き、それ以上の意味を持たせないことにしました。外回りの日も、休みの日も、機械から見れば同じ「痕跡なし」ですし、記録の量と仕事の量は別のものだからです。評価に使い始めた瞬間に、この節は信用できない道具になってしまうと思います。

「今日のチーム」の実物(サンプル):社員ごとの天気と今日進めたこと。痕跡が無い人は「痕跡なし」とだけ書く

もう1つ、各人に天気の記号を付けています。これは打刻の記録から前日の終業時刻と連続の日数を読んで、遅い日が続いている人に気づくためのものです。長時間労働は数字を並べても気づきにくいのですが、傘の記号が1つ出ていると、翌日の会議を入れる前に手が止まります。判定はこれだけの単純な式です。

def weather_for(end_h: float | None, streak: int) -> str:
    if end_h is None:
        return "☀️"
    if end_h >= 22 or streak >= 3:
        return "⛈️"
    if end_h > 20 or streak >= 2:
        return "🌧️"
    return "☁️"

しきい値は22時と20時、連続は3日と2日に置いています。数字そのものに強い根拠があるわけではありませんが、線を引いておかないと「なんとなく忙しそう」で終わってしまいますので、まず引いてしまって、あとは運用しながら直していく、という順番にしました。

ブログのネタは、記事にせず素材のまま貯める

3つめの節は少し毛色が違って、その日の出来事をブログの素材カードにして貯めます。1日10枚から20枚が目安で、この日は16枚でした。ここで大事にしているのは、その日のうちに記事にまとめてしまうと、固有名詞も数字も、実際に誰が何と言ったかも落ちてしまうという点です。落ちたものは後から復元できません。

ですから、このスキルは記事を書きません。書くのは1枚1ネタ、200字までのカードだけです。しかも伏せ字にせず、実名も金額もそのまま書いて、代わりに「実名可・要匿名・社外NG」の開示区分を付けます。匿名にするのは、あとで記事を書く段階の仕事だと決めました。カードの形はこうなっています。

- ID: N2026-0922-07
  種別: 発言 / 出来事 / 数字 / 失敗 / 学び / 現場の細部
  時刻: 13:20
  内容: (ありのまま。固有名詞・金額そのまま。200字以内)
  私の言葉: 「(原文。無ければ『未記録』と書き、作らない)」
  感じたこと(推定): (無ければ『なし』。作らない)
  出典: (実際に読んだファイル)
  開示区分: 実名可 / 要匿名 / 社外NG
  使えそうな角度: [経営者, 仕組み, 営業]
  使用状況: 未使用

角度を1つに決めないのも決めごとの1つです。というのも、私が書くとどうしても経営の話に寄ってしまい、技術の話や笑い話が最初から失われてしまうからです。そこで角度は複数付けておいて、絞るのは記事を組む段階に回しました。夕方の報告の画面には、その日のカードが角度別の帯になって出ます。経営者の角度ばかりになっていれば、偏りがその場で分かります。

もう1つ、カードを作る段階で、すでに公開した記事との突き合わせもしています。主題が重なりそうなカードには注意書きが付き、単独では使わないという印になります。あとで構成を組むときに気づくと作り直しになりますので、警告は記録の時点で出すようにしました。

ネタ帳の内訳(サンプル):16枚を角度別の帯で表示し、経営者の角度が何枚かを必ず出す

数字のあとに、耳の痛い一言を1つ置く

4つめは経営アドバイスの節です。ここには今日のお金の動きと、請求管理ツールから取った数字が先に並び、そのあとに気づきが来ます。数字を先に置いたのは、感想から始めると話がふわっとしてしまうからで、入金があった・請求は出していない・立替が1件ある、といった事実を土台にしてから意見を述べる形にしました。

そのうえで、良い報告だけが並ばないように、耳の痛い一言を必ず1つ入れる決まりにしています。下の画面では「今日決めた2件はどちらも社内の段取りで、外に出ていくものが1件も進んでいません」と書かれています。自分では気づきにくい種類の指摘ですし、毎日出るとは限りませんが、枠を用意しておかないと出てこない意見だと思います。

経営アドバイスの実物(サンプル):数字のあとに置く、耳の痛い一言

記録の抜けと、明日の持ち物

5つめの節は「記録の抜け」です。その日の会議のうち、議事録も文字起こしも手書きメモも見つからないものを名指しします。全部そろっていれば1行で「抜けはありません」と出るだけですが、抜けがあるときは、その会議で何件の宿題が出ていたかも一緒に書きます。

議事録が無い会議は、その日のうちに指摘しないと、二度と書かれません。翌週になってから「あの打ち合わせ、何を決めましたっけ」と聞いても、もう誰も正確には思い出せません。ですから、この節はその日の夕方に出ることに意味があります。1行でもいいから残しておこう、という気持ちになるのは、たいてい当日の夕方までです。

「記録の抜け」と「明日の持ち物」の実物(サンプル)

その下には「明日の持ち物」が続きます。明日の会議ごとに、必要な資料とリンクがチェックの形で並び、用意できているものには印が付きます。上の画面でいえば、明日10時の定例に出す画面の案だけが未着手のままです。これは翌朝に慌てないための節で、前の晩に見ておけば、朝いちばんに何をすればよいかが決まります。

ここで用意できていないものは、そのまま次の節の提案につながります。AI が「過去の似た画面を3つ集めておきましょうか」と聞いてくるのは、この持ち物の欄が埋まっていないからです。表と提案がつながっているので、チェックが付いていない行を見つけたら、その場で記号を返すだけで手が打てます。

申し送りが、翌朝の一行目になる

6つめは明日への申し送りです。今日終わらなかったもの、私にボールがあるもの、先方にボールがあって待つだけのもの、日付が決まっていて当日まで動かないもの。この4種類を分けて並べ、それぞれに期限の日付を付けます。分けているのは、待つだけのものを毎日気にしても仕方がないからです。

「明日への申し送り」の実物(サンプル):期限つきの一覧と、A・B の提案

この節がいちばん効くのは、翌朝との関係においてです。翌朝6時30分の朝の報告は、この申し送りを最初に読みますので、今日片付かなかったものは明日の一行目に戻ってきます。3日放置すれば「3日目」と書かれ、表の色も濃くなります。私は何度か、色が濃くなったのを見て慌てて返信した覚えがあります。仕組みで解こうとするより、毎朝目に入るほうが効いたという話です。

申し送りの各項目には、AとBの記号が付いた提案がぶら下がります。提案は準備までに限っていて、下書きを直す、過去の案件を集める、といった内容だけです。送る・支払う・公開するは提案に出しません。境界を提案の段階で引いてありますので、私は記号を返すだけで安全に動き出せます。

無人で回すために決めたこと

このスキルは毎日17時45分に無人で走りますので、人が見ていない前提で決めたことがあります。1つめは、語る側は JSON だけを書き、見た目は Python の描画器が作るという分け方です。JSON にしておけば、日付や時刻の書式、空欄、読めない記号といったものを、描く前に機械が検査できます。人が見ていない時間に崩れた画面を出さないための一手間です。

2つめは、出す先を2つに分けたことです。1枚の HTML が本体で、Claude Code のセッションには場所と継続中のものだけを短く返します。詳細を両方に書くと必ずどちらかが古くなりますので、セッションの返事はこの形に固定しました。

Claude Code のセッションに返ってくる返事(サンプル):詳細は書かず、場所と継続・要返答だけ

ご自身の会社で同じものを回すなら、必要なのは Claude Code と定期実行の仕組み、それから Python 3 です。置き場所は .claude/skills/夕方の報告/SKILL.md の1ファイルで、起動は「夕方の報告」と声をかけるだけです。接続が無くても、その日のメモを1つ手で置けば最初の1枚は出ますので、まずは答え合わせと申し送りの2つだけから始めるのがよいと思います。

まとめ

  • 1日の終わりは、成果より朝との答え合わせから始める
  • 痕跡が無い人は「痕跡なし」と書くだけにして、評価に使わない
  • ブログのネタは記事にせず、開示区分を付けて素材のまま貯める
  • 議事録の抜けは、その日の夕方に名指しする
  • 申し送りが翌朝の一行目になるので、放置は必ず戻ってくる

描画器(report_html.py)・仕様書(REPORT_SCHEMA.md)・一般化した SKILL.md は、こちらからダウンロードできます(zip)。