AI が作った Google ドキュメント、毎回同じような修正をしていました

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AI が作った Google ドキュメントを、毎回同じところで直していました
2026.10.12
AIスキル解説, 技術紹介, AI
代表取締役社長 中根 茂雄

私の会社では、規程や方針、提案書のように人が読んで手を入れる文書を Google ドキュメントに置いています。この記事では、その Doc を AI(Claude Code)に作らせたり直させたりする自作スキル「gdoc-edit」について、1本の社内文書ができるまでを順に追ってお話しします。

結論を先に書きますと、夏から秋にかけての数か月で、Doc で困った体裁を9つ、道具の側に組み込みました。表の文字の大きさ、冒頭の日付と名前の位置、字下げなどです。いまは AI に Google ドキュメントを作らせても、同じ手直しを頼む回数はずいぶん減りました。

このスキルが育つ前は、AI が作った Doc を開くたびに、同じところを直していました。表の文字が本文より大きい、日付が左に寄っている、箇条書きが見出しより外に飛び出している、といった具合です。そのたびに「ここを直して」と頼めば直してはくれます。ただ、次の文書ではまた同じところが崩れていて、私は毎回同じことを言っていました。

gdoc-edit の流れ:下書きから検査・Doc・整形を経て、指摘は道具の既定値へ戻る

下書きは、AI が Markdown で書きます

たとえば「在宅勤務の基本方針を、全社員向けの Doc にして」と頼むとします。AI はいきなり Google ドキュメントを作るのではなく、まず Markdown(記号で見出しや表を表す、ただのテキスト)で下書きを書きます。私が読むのもこの下書きで、中身のやりとりはここで済ませます。

依頼と、AI が書いた下書きの報告(サンプル)

下書きの先頭には、タイトル・サブタイトル・日付・作成者を書く欄があります。本文の見出しは # から始め、表は記号の縦線で書きます。下は、この記事の例に使ったサンプルの下書きです。

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title: 基本方針(テレワーク)
subtitle: 全社員向け 2026年10月
date: 2026年10月12日
author: 株式会社サンプル 山田
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# 1. 目的

在宅で働く日の連絡と記録の決まりを定めます。

# 2. 勤務の届け出

| 区分 | 届け出 | 期限 |
|---|---|---|
| 終日 | 申請フォーム | 前日まで |
| 半日 |  | 当日の朝 |

下書きを Markdown にしているのは、AI が速く書けて、前の版との違いも行単位で見比べられるからです。一方、Doc は社員がコメントを付けたり、表に色を塗ったりする場所です。中身は下書きで詰め、Doc にするのは最後の一度だけにしています。Doc を何度も作り直すと、そのたびにリンクを送り直すことになるので、それを避けたいという事情もあります。

AI は下書きを書き終えると、見出しと表の数を添えて報告してきます。私はその報告と下書きを読み、抜けている項目や言い回しを言葉で直してもらいます。この段階では Doc はまだどこにもありませんので、何度直しても社員の目に触れることはありません。下書きが固まってから、はじめて Doc にします。

Doc にする前に、検査が入ります

下書きができたら、Doc にする前に書式の検査を通します。最初のころは、表に空のセルが一つあるだけで、Doc を作る途中で失敗していました。その後、空のセルは道具が「—」で埋めて通すようにしましたが、今度は中身の抜けたまま Doc ができてしまいます。

また、表のセルの中に書いた太字の記号は、Doc では記号のまま残ります。どちらも、作り終えてから私が気づくまで分かりませんでした。

Doc にする前の検査で止まったときの報告(サンプル。検査の出力は実物)

そこでいまは、Doc を作るコマンドが、実行の前に必ず検査を通るようにしています。上の例では、表の「半日」の行の届け出の欄が空いていたため、Doc を作る前に止まっています。欄を空けていた理由は私が先に答えていたので、AI はそのとおりに埋めてから Doc にしました。私は止まった理由と直し方を読んで、それでよいかだけを見ています。

止めるのは、中身の抜けた空のセルと、記号のまま残るセルの中の太字の二つだけです。一方、「/」で語を並べている、段落の途中で改行している、といった読みやすさの指摘は、表示はしますが止めません。止める範囲を広げすぎると毎回止まり、誰も検査の結果を読まなくなるからです。

Doc で崩れる書き方は、Doc を作る前に機械的に止めるようにしました。説明書に「空のセルは埋める」と書いても、AI は忘れる日があるので、ここは忘れても止まる仕組みにしています。

なお、検査は AI が自分で思い出して走らせるものではなく、Doc を作るコマンドの中に入れてあります。AI が検査を忘れて Doc を作ろうとしても、コマンドの側で止まります。ですから、AI の注意力に頼らずに済むわけです。

冒頭の4行と表は、AIがルールに沿って作成します

検査を通ると、下書きから Doc ができあがります。下の画像は、サンプルの下書きを実際に Google ドキュメントにして、PDF に書き出したものです。タイトルとサブタイトルは中央に、日付と会社名・名前は右に寄せて2行で並びます。社内で正式な文書を出すときの体裁で、下書きの内容からAIがルール通りに作成します。

下書きから作った Google ドキュメント(サンプル)

表の文字は10ptで、見出しの行は灰色になります。表のすぐ下の段落には少し空きが入り、最後の行の「推奨」は青い太字になっています。どれも、一度は私が手直しを頼んだところです。困った時期と、AIがルール通りに処理していることを並べると次のようになります。

時期困ったこといま道具がすること
夏ごろ表の文字が大きい表は全セル10ptで作る
9月の初め貼り付けた後に記号が残る境界線と残った記号を片付ける
9月の半ば冒頭の4行を毎回手で整える先頭の4欄から冒頭の4行を組む
9月の終わり空のセルや表の中の太字に後で気づく作る前の検査で止める
9月の終わり箇条書きが外に出る字下げを1か所にそろえる
10月の初め表の下の文字が詰まる表の直下に10ptの空き
10月の初め「推奨」が埋もれる青い太字にする
10月の初め話の区切りが分からない空行2つで空の段落を置く
10月の初め箇条書きの中の太字が効かない箇条書きの中も太字にする

これは、行きつけの床屋に似ていると思います。最初に一度「横は短めで」と伝えておけば、次からは「いつもので」で同じように仕上げてくれます。一度言った体裁は、道具が「いつもの」として覚えるようにしました。こうして覚えた「いつもの」は、Doc を作るたびにAIが黙って当ててくれます。

Google ドキュメントへの指摘は、その場の手直しで終わらせません

体裁の指摘をしたとき、AI がまずするのは、目の前の Doc を直すことです。ただ、それだけで終わると、次の文書でまた同じところが崩れます。そこで、同じ指摘が二度目に出たら、その直し方をルールに入れるようにしています。字下げも、最初は AI がその場で書いた短いスクリプトで直していました。

字下げをそろえる前と後の Google ドキュメント(再現)

字下げは、その典型でした。Doc にしたあと、箇条書きの位置が見出しより外に出ている、と私が二度続けて指摘しました。そこで、字下げをそろえるコマンドを一つ作りました。見出し・本文・表は左端に、箇条書きは決まった1か所に、入れ子は1段ごとに同じ幅でずらします。いまは Doc を作ったあとに、このコマンドを必ず流しています。

同じ指摘が二度出たら、それはルールに足りない部分の印だと思っています。ただし、正直に書きますと、その場の書き換えはまだ0になっていません。会議の資料のように、文書ごとに体裁の決まりが違うものでは、今も AI がその場で直しています。決まりが一つに定まらないものまで既定にすると、かえって他の文書が崩れるからです。

そのため、既定にするかどうかは、全部の文書で同じでよいかどうかで決めています。言えるものはルールに加えて、説明書の決まりにも書き足します。そう言えないものは、その文書の手直しとして残します。こうして少しずつ「いつもの」が増え、最初に挙げた9つになりました。

出したあとの小さな直しは、言葉で頼みます

Doc を出したあとにも、直しは出てきます。一文足したい、日付を変えたい、といった小さな直しです。こちらは Doc を作り直すわけにはいきません。社員が付けたコメントや、あとから貼った画像が消えてしまうからです。そこで、小さな直しは、狙った箇所だけを変える道で当てています。

出したあとの小さな直し(サンプル。点検と適用の出力は実物)

私は「届け出の段落の後ろに、忘れた日の扱いを一文足して」と言葉で頼みます。AI も、足す場所と足す文を言葉で示してきます。裏では、AI がその直しを機械向けの作業ファイルに書き、足す場所が文書の中に1か所だけあるか、コメントの付いた文に重ならないかを数えています。私が目にするのは、その結果を言葉にした報告だけです。

提案は言葉で受け取り、場所の確かめは機械に任せています。足す場所の文が2か所に見つかったら、そのまま当てずに、もっと長い文で場所を言い直してから当てます。また、当てる直前には本文を控えに取り、終わったら表やコメントの数が前と変わっていないかを見ます。Google ドキュメントの版の履歴には変えた理由までは残らないので、節目の版は、理由を一言添えて控えています。

また、直す文にコメントが付いている場合、AI はその文を置き換えずに、後ろに一文足す形を提案してきます。コメントは文に貼り付いているので、文を置き換えるとコメントが行き場を失うからです。社員が残した指摘を消さないための決まりで、これも説明書に書いてあります。こうした直し方の決まりも、体裁と同じく、一度困ったところを説明書やルールに足してきたものです。

自分の環境で動かす

スキルは、AI が読む説明書(.claude/skills/gdoc-edit/SKILL.md)と、Google Docs API を使う Python のルールでできています。ルールは、Doc を読み書きする本体、作る前の書式の検査、字下げの整形の三つです。

体裁は道具に、どこで止まって何を確かめるかは説明書に分けています。説明書の要点を、社内の決まりを外して一般化すると次のようになります。

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name: gdoc-edit
description: Google ドキュメントを下書きから作り、狙った箇所だけ直す。「この内容を Doc にして」「この Doc の◯◯を直して」と言われたら使う。
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# 作る
1. 下書きを Markdown で書く(先頭に title / subtitle / date / author)
2. 書式の検査を通す(空のセル・セルの中の太字は止まる)
3. Doc にする(表と冒頭の体裁は道具が組む)→ 字下げをそろえる

# 直す
- 小さな直し: 直し方を言葉で示す → 作業ファイルで場所と件数を点検 → 承認を待つ → 控えを取って当てる
- 大きな直し: 下書きを直して同じ Doc を組み直す(画像とコメントが無い文書だけ)

# 体裁の指摘を受けたら
- まず目の前の Doc を直す
- 同じ指摘が二度出たら、ルールの既定に入れる候補として報告する

原文は社内のパスや決まりを含みますので、要点だけを載せました。Python の道具は配布していません。そのため、同じ形のルールは Docs API で用意する必要があります。中心になるのは、複数の変更を一度に送る batchUpdate です。

前提は、Claude Code、Python 3.9 以上と Google API のクライアントライブラリです。加えて、Google Cloud で Docs API と Drive API を有効にし、OAuth の認証ファイルを取ります(無料枠で足ります)。初回だけブラウザでの承認が要り、以後は保存したトークンで動きます。

起動の言葉は「この内容を、全社員向けの Doc にして」です。体裁の既定は会社ごとに違いますので、最初は空のままで構いません。まずは1本作ってみて、気になった体裁を一つずつ既定にしていくのがおすすめです。

まとめ

  • 中身は下書きで詰め、Doc は最後に作る
  • Doc を壊す書き方は、作る前に止める
  • 一度言った体裁は、ルールの既定にする
  • 同じ指摘が二度出たら、ルールに入れる
  • 小さな直しは、言葉で頼んで機械が確かめる