アクセシビリティで注目されるNFC

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2026.01.08
アクセシビリティ, NFC
エンジニア 石橋 賢治

アクセシビリティ(Accessibility)とは、障がいの有無、年齢、利用環境に関わらず、すべての人々が情報やサービスを平等に利用できるようにすることを指す言葉です。
対象がとても広範囲ですが、市場調査の一環で今回は福祉の観点で「どのようにNFC(ICタグ全般)が使われているか、また期待されているか」を調べてみました。

どういった活用があるかはさておき、こういったサービスがあるという意義を知っておくことに意味があると思いブログ記事にしました。

先駆ではWebに特化したアクセシビリティのサービスを提供しています。
詳しくはウェブアクセシビリティを参照ください。

視覚障がい者の「もの」認識とナビゲーション

目で見えなくても、かざせばわかるNFCの特性が生かされた事例を紹介します。

生活支援

日本視覚障害者団体連合の用具購買所にても取り扱いしている「タッチボイス」という、ペン型の端末をICタグのシールにかざすと、音声によるアナウンスが聞ける録音再生装置です。

同一の形状で判断しにくいモノの管理として、CDケースや容器の中身を把握したり、お薬の用法を確認するのに使用されています。
また、ICタグも衣類に縫い付けられる防水仕様のものもあり、洋服選びにも使えるようです。

海外のメーカーになりますが「WayAround」というフリーのスマホアプリで同様のサービスも存在しており、WayTag(ICタグ)を読ませると、同様に音声によるアナウンスを行うことができます。
こちらもさまざまなWayTagが存在しており、衣類のボタンの形状をしたものもあり、ジャケットのボタンとして直接縫い付けることも可能です。

歩行支援

金沢工業大学の研究室にて開発された「コード化点字ブロック」という、通常の点字ブロックの点に色をつけることで、専用アプリからそれを読み取り音声情報が提供されます。
QRコードと似たような技術で提供されており、ブロックの点で表現しきれない場合は、注意喚起ブロックとして通知をし、ブロックに埋め込まれているICタグにスマホをかざすことで追加の音声案内を聞くことができるようです。

2025年時点では、羽田空港をはじめ、全国10都道府県、計400箇所で導入されているようです。
今後もエリアは拡大されていくとのことで詳しくはW&Mシステムズ合同会社ホームページを参照とのこと。

また、京セラが開発した「スマート白杖」や、WeWALKとTDKがコラボレーションして開発した「WeWalk Smart Cane 2」は駅のホームや列車連結部、点字ブロック、横断歩道などにICタグ(RFID、NFC)を埋め込み、白杖にて読み取ることで振動やスマートフォンアプリでの音声案内を行うことができる製品もあるようです。

認知症・高齢者の見守りと身元確認

徘徊などの緊急時に、発見者が「この人は誰か」を迅速に把握するために使われている事例を紹介します。

2015年と少し古いですが学生から生まれたサービスとして、学校法人岩崎学園 横浜スポーツ&医療ウェルネス専門学校(旧:横浜医療情報専門学校)の学生が開発した「おうちにカエろう」というアプリで、ICタグが内蔵されたお守りやキーホルダーを読み取ることで、家族などに連絡が取れるサービスがあります。

また、株式会社marin’s houseが提供している「デジタルエマージェンシーカード」という商品では、かざすことでご家族への連絡が行えたり、カードに氏名、血液型、持病に関する情報が印字されており、アレルギーを参照できるQRコードも印刷されています。
こちらは専用アプリを必要とせずに家族への連絡や、個人情報の参照が行えます。

また、NFCではないですが埼玉県入間市では認知症高齢者等支援事業として「爪Qシール」を交付しており、爪にQRコードのシールを貼ることで個人を特定する取り組みを行っています。
徘徊や外出時の行方不明は自治体をあげて対策を進めている重要事業となっているようです。

訪問看護の業務効率化

エビデンスの側面で事務業務を簡略化しつつ、ケアの質を担保している事例を紹介します。

株式会社ロジックが提供するサービス「Care-wing」では訪問介護などのヘルパーさんの業務支援や、管理者向けのサービスを展開しています。
ログインにNFCを使用しID・パスワードの入力を省いたり、玄関先のNFCタグを読み取り訪問のエビデンスや情報共有を行ったり、ペーパーレス化として業務実績をクラウドでリアルタイム管理できるようなシステムを提供しているようです。

厚生労働省が推進している介護分野における生産性向上の一環として注目されているようです。

知的障がい・発達障がいの自立支援

手順を覚えるのが苦手な方や、文字の読み取りが困難な方へのガイドとしての事例を紹介します。

ソフトバンク株式会社と東京大学先端科学技術研究センターが進める実証研究プロジェクトとして「魔法のプロジェクト」があり、支援が必要な方へのスマホの使い方や、教育現場でのコンテンツの作成方法などを推進する枠組みとしてのプロジェクトのようです。

特別支援学校教員の評価を元に、学習に困難がある子どもたちが実際に役に立ったアプリを障がい種別に紹介しています。
「なにをするべきか」「どうすればいいか」を音声や動画でガイドできるアプリや、メールや地図などの生活に必要なアプリなどを選定して自立を支援する情報を提供しています。

給食の配膳場所にNFCタグを貼り、かざすことで給食の配膳手順を動画で確認できるよう、アプリの選定・使い方からレクチャーまでをSNS等を利用して発信しているようです。

さいごに

今回調べてみたのもほんの一部ですが、いろんなサービスに利用されていることがわかりました。
文字の読み取りが困難な方や、目が見えない方に向けた直接的なサービスや、介護や特別支援学校などの業務支援を目的としたサービスなど両方から利用されている技術だと思いました。

またそれらのサービスが必要とされている社会的背景の意義について、少しばかり触れることができ勉強になりました。
加えてサービスの普及や認知、規格統一化など、国などの大きな存在がリードしていく社会になるとより手軽に便利になっていくようにも感じました。

いち開発者として、世の中を少しでも便利にできるよう精進してまいりたいと思います。
先駆ではNFCを利用した開発を行っております、お気軽にご相談ください。